昨日の夏コミは、たくさんの方にお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
いつもCOMITIA中心に出ているので、普段と違う方がたくさんいらしてくださったようで、ありがたかったです。
もちろん、いつも買ってくださっている方が続きを手にとってくださり、「いつも読んでます」とか「がんばってください」と声をかけてくださったりして、やはりイベントはいいなと思いました。
ただ、今回新規の方で、何種類もの本を買っていかれる方が多く、そのたびに「えーっと、合計は…」ともたもたしていて申し訳ありませんでした。あとで在庫と合わせて計算したところ、定価より多くいただいてしまったということはないのでその点はご安心いただきたいのですが、購入時にご不安を与えることのないよう、次回から何らかの対策を考えたいと思います。
さて、うちのサークルは春秋時代の呉越を舞台にした作品をメインに活動しています。
呉越の歴史を調べる場合は、まず「左伝」「國語」「史記」などの史料を見ることになります。
しかし左伝については越の記述はそれほど多くはないです。范蠡は出てきません。
「左伝」「国語」の成立年代についてはかなり専門的な議論になってしまい私には手が出ないのですが、「国語」に関しては吉本道雅先生が指摘されていたように同じ事象を伝えるのに「呉語」「越語」の成立時には3つの異なった伝承が存在していた。先にも書きましたように范蠡の名前は左伝には全く出てこず、「墨子」「韓非子」「呂氏春秋」など戦国後期の文献になり初めて出てきます。そうしますと国語の記述は句踐の死後に形成された伝承であろうとも考えられます。
そうしますと「国語」に伝えられる以外ににも呉越に関する伝承が何通りか伝えられていたとも考えられます。
いまツイッターで少しずつ読んでいる「呉越春秋」に至っては文章がどうにも漢代の文章ですし、私見では当時流布していた呉越に関する伝承をまとめてストーリー仕立てにした二次創作小説みたいなもの?ととらえております。ですので「霸王の輔」を描くに当たっては部分的にネタが拾えればいいなあ…ぐらいの感覚で読んでおりまして、呉越春秋をベースにした物語を描く予定はないです。
ですので呉越の史料を読むときは「当時の呉越の姿を伝えるものなのか」「あとから形成された伝承なのか」を意識しつつ読まなければなりません。
「霸王の輔」を読んで「自分の思っている呉越史のイメージと違う」を思われる方も多いかもしれませんが、私なりの史料の読み方をした結果です。
もちろん漫画ですので、作品上の演出も多々ありまして、夫差が白髮のイケメンだったり句踐樣が美少年だったり、あえて時間軸をずらしたり、外交関係の単純化もしています。
そういうことを考えると歴史漫画というのはものすごく難しいのですが、ただ昔の有名な人がこういうことをしましたということを描くのではなく、何らかの人間ドラマが描ければいいと思っています。
今回のイベントでは本を手にとって下さりありがとうございました。これからもがんばろうと思います。どうぞよろしくお願いします。