文種さんの名前
文種さんの名前について
作品では隻眼の中年として登場する【1】文種さんですが、この人の名前は「左伝」「國語」では「大夫種」と表記されています。史記の呉世家・越世家でもやはり「大夫種」となっています。
それで、「索隱」ではこのように説明しています。
大夫、官、種、名也。一曰大夫姓、猶司馬司徒之比、蓋非也。
「大夫」は官名で、「種」が名である。一説に「大夫」が姓で、「司馬」や「司徒」のようなものであるというが、それは誤りであろう。
ここでは否定されていますが、大夫が姓で種が名という説がかなり根強くあったみたいです。
時代が降って、『呉越春秋』になると「文種」として出てきます。『越絶書』では「大夫種」です。
姓が「文」だったとすると、「范蠡」は「范蠡」と表記されているのに、なんでこの人だけ「大夫種」って書かれてるのか、そのへんがよく分かりません。
ただ、姓が「文」だとか「大夫」だとか、いろんな意見が出てしまうぐらいに、素性のわからない人だったのではないかと思います。范蠡氏もそうですが、あんまり名門の出身ではなかったのかもしれない。
ついでに、越の大夫靈姑浮ですが。
諸橋大漢和では「靈姑」を複姓としてるのですが、これはちょっと出典が分かりません。わかったらまた書きたいと思います。
脚注
【1】2024年、歴史創作活動を再開するに当たって、思うところがあって試験的に隻眼の設定をやめています。両目あります。